2-3末文・日付・署名で合意を確認

さて、内容を確認したら残りはわずかです。

■末文
末文では作成した契約書の通数や所持者を記載します。
一般的には契約書は2通作成し、それぞれの当事者が所持することとなります。
また契約書の最後の条文の真下に記載しますので、
後で条文に無断で付け加えたりすることを防止する働きもあります。

■日付
末文のあとには、この契約を交わした日付を記載します。
この日が契約の適用などの基準となります。
実際にはついつい契約書の作成は後回しにしてしまうので、業務開始日にさかのぼることも多くあります。

■署名
最後が署名欄になります。ここは、この契約の内容を誰が合意したのかということがあらわされています。
名前を書いて印を押せばよいわけですが、ここではポイントが2つあります。
「当事者の存在」と「合意の確認」です。

(1)当事者の特定・存在の証明
どこの誰が契約したのかを分かるようにすることが大切です。
「隣町の佐藤さん」では誰だかわかりませんし、名前だけでも同じ方が何人もいるでしょうから、
その存在を特定できません。
会社の場合は、会社住所・会社名・代表者肩書き・代表者名を記載することになります。
相手の会社が実在するかどうかというのは一般的には名刺をもらったり、
HPを確認したりというのが一番簡単な方法です。ただしこれも完璧ではありません。
確実に確認するには「登記簿」というものを確認します。
登記簿とは会社の「戸籍」のようなもので、会社設立する際に、国に届け出ているものです。
法務局に行くと確認することが出来ます。
いざ取引をしてみたら、名刺なども全部偽物で、その場所に会社も存在せず、
商品だけ騙し取られたなんてことがあると怖いですよね。
はじめての取引というような場合や大規模な取引をする場合は相手が本当に存在するのか
慎重に確認を行うことが大切でしょう。
よく取引開始にあたって登記簿の提出を求められることもありますね。

(2)合意の確認
当事者を特定したら、次はその当事者が契約内容に合意したかどうかの確認です。
「相手も合意していましたよ」といくら言っても水掛け論ですので、
契約書で合意していることを確認できる必要があります。
それが「押印」や「署名」です。 つまりこの契約の内容について当事者が合意した証として
署名(サイン)や押印をするのです。
署名ですと筆跡鑑定などができますので、本人が本当にサインしたのかどうかわかります。
本人がサインしたからにはきっとこの内容に合意したのだろうと第三者が見ても思いますよね?         

一方、印鑑については注意が必要です。 三文判などで押印するような場合も見受けられますが、
それですと、別の誰かが勝手に町にある印鑑屋で印鑑を買って押印するなどすれば
簡単に偽造が出来てしまいます。それでは当事者本人に本当に合意の意思があったのかわかりません。
相手側が約束を破った場合などに、「ここに押印してありますよね?」と問い詰めても
「いやいや、そのハンコはあなたが勝手に作って押したものでしょ」なんて
言い逃れされてしまっては元も子もありません。
そこで会社の場合は実印(代表印)というものがあります。
実印とは会社の設立時に会社が国(法務局)に届け出て登録されている印鑑のことです。
世界に1つしかありません。

この印鑑が押印されていれば、本人がサインしたのと同様に、その会社が契約書を読んで、
納得して押印したのだろうと推測できるわけです。つまりサインと同じ効果があるのです。
逆に言うと、この代表印の管理は会社がしっかりと行わなくてはいけません。
通常ですと金庫保管などが原則ですね。 なお、署名の当事者が代表者でない場合や、
印鑑が角印など実印でない場合は、偽造の可能性もあり、この合意があったかどうかという点で、
第三者(裁判所)への証拠力が弱いため、重要な取引の場合は極力代表者名でかつ、
実印を押印してもらうようにしましょう。